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日常の悩み事や疑問

SMAや生活などについてのさまざまな悩み事や疑問に、専門家の視点からわかりやすくお答えしています。
弊社製品に関するQ&Aは「弊社製品をお使いの方・ご家族の皆さまへをご覧ください。

※:弊社製品による治療を現在受けている、または受ける予定がある方ならびに治療をサポートされる方を対象としており、閲覧には注意事項へのご了承が必要です。

病気のこと

SMAでは、どのような症状がみられますか?
SMAは幅広い年齢で発症し、筋力低下を中心に、座れない、歩きづらいなどからだを動かしにくくなる症状と、呼吸や飲み込み、姿勢などに関する症状があらわれます。乳児期に発症するⅠ型の方ではからだが柔らかくなった状態のフロッピーインファント、幼児期に発症するⅡ型の方では座ったときに背中が丸くなるなど、病型ごとに異なる症状もあります。詳しくは「SMAのことを知りたい方」をご覧ください。
どうしてSMAになるのですか?
SMAは遺伝子の病気であり、ほとんどの場合は、SMN1(エスエムエヌワン)という遺伝子に原因があります。SMN1遺伝子は、筋肉を動かすために必要なSMNタンパク質(運動神経細胞生存タンパク質)をつくっています。SMA患者さんでは生まれつき、SMN1遺伝子の一部を持っていない、もしくは、持っていても変化しているためにSMNタンパク質をつくることができません。そのため、SMNタンパク質が不足して、脊髄にある運動神経細胞が変化し、筋肉の萎縮(いしゅく、筋肉がやせること)が起こり、症状があらわれます。詳しくは「SMAのことを知りたい方」をご覧ください。
SMAの子にどうして自分は病気になったのか、皆と同じように手や足は動かないのかと質問されました。
どのように説明すればいいでしょうか?
SMA患者さんは知的な理解に優れていることが多く、年齢が低くてもほかの人との違いに気付ける感性を持っていることもあります。SMAは病気のタイプ(病型)や発症年齢によって症状や進行の個人差が大きい病気です。主治医や認定遺伝カウンセラー®にご相談の上、患者さんに合わせた伝え方を一緒に考えましょう。段階に応じて徐々に説明を受けることで、病気を受け入れやすくなります。
1人目の子どもがSMAです。2人目を考えているのですが、遺伝の話を詳しく知りたいです。
遺伝カウンセリングを受けて相談してみるのがよいでしょう。遺伝カウンセリングでは、SMAのお子さんを妊娠される可能性や実施できる検査、治療に関することなどをご説明します。医師(臨床遺伝専門医)や認定遺伝カウンセラー®にご相談ください。ささいに思われることでも、不安に感じている事項に対して医学的情報をお伝えします。それぞれのご家族に合わせてサポートを考えていきます。
健康なきょうだいに我慢させることがどうしても多くなってしまいます。
SMAの子と健康なきょうだいにどう接していったらいいでしょうか?
患者さんはもちろんのこと、ごきょうだいの心の成長もご家族が日常生活を送る上での大事なポイントです。治療は身体的な部分だけに焦点を当てるものではありません。患者さんやごきょうだいの気持ちに沿っていくような、心理面でのサポートも必要になることがあります。まずは患者さんの主治医や身近な医療スタッフにご相談ください。
健康なきょうだいに病気のことを聞かれました。どのように説明すればいいでしょうか?
ごきょうだいの年齢や理解力によって、説明内容やタイミングはさまざまです。それぞれの方に合わせた説明方法とサポートを考えていきます。主治医に相談して、適切な医療スタッフを紹介してもらいましょう。身近に公認心理師(臨床心理士)のような心理専門職がいれば、話をしてみることもおすすめします。
SMAの子のおじ・おばが、自分が保因者かどうかを心配しています。検査することはできますか?
発症者と血縁関係にある方は、SMAの原因となる遺伝子を持っているかを調べる「保因者診断」をお受けいただくことが可能です。まずは遺伝カウンセリングを受けて、SMA患者さんとの血縁関係などの情報からリスク確率の説明をお受けいただきます。検査を受けるメリット・デメリットを理解され、慎重に判断いただくことが重要です。また、保因者の方は症状がないため、検査前後の遺伝カウンセリングを含めて自費診療となります。SMAの説明から検査後のケアまでサポートしますので、患者さんの主治医や認定遺伝カウンセラー®にご相談ください。

診断のこと

子どもにSMAを疑う症状がみられます。誰に相談したらいいでしょうか?
SMAは専門の医師の診断や治療が必要です。まずは、かかりつけ医に相談して、専門の医師を紹介してもらいましょう。
SMAの診断では、どのような検査をするのでしょうか?
SMAが疑われる症状がみられる場合は、遺伝学的検査によってSMN1(エスエムエヌワン)遺伝子に変化がないかを調べます。変化がない場合には、ほかの原因を探す検査を行います。
遺伝学的検査とはどのようなことをするのでしょうか?
血液から抽出したDNAを用いて、SMN1(エスエムエヌワン)遺伝子の数(コピー数)や変化などを調べます。そこで、SMN1遺伝子の一部がない、欠失と呼ばれる状態、もしくは、微小変異と呼ばれるような変化があるとわかればSMAと診断されます。検査の結果がわかるまでに数週間~1カ月程度かかることがあります。
遺伝学的検査をお受けになる場合には、遺伝カウンセリングによって検査前から診断後まで、患者さんやご家族の心理面や社会面も含めて主治医や認定遺伝カウンセラー®がサポートします。

治療のこと

どのような治療を行いますか?
SMAの原因に対しては、SMNタンパク質(運動神経細胞生存タンパク質)をつくりやすくするお薬の治療があります。また、合併症に対しては、呼吸や栄養摂取を補助するためのケア、脊柱側弯(せきちゅうそくわん)の手術、運動機能を維持・向上するためにリハビリテーションも行います。治療方針は、患者さんの症状やご希望に合わせて主治医が決定していきます。
症状のことを相談したいのですが、誰に相談したらいいのかわかりません。
SMAの治療やケアにはさまざまな職種がチームとなって取り組みます。まずは主治医に相談して、適切な医療スタッフを紹介してもらいましょう。それぞれの職種の役割や相談できる内容の詳細は「Voice」をご覧ください。
側弯(そくわん)が進んだ場合、手術のタイミングはあるのでしょうか?
側弯が進行しすぎると手術に時間を要したり、手術が困難になったりすることもあります。主治医は整形外科医と連携し、患者さんやご家族と相談しながら、実施の必要性とタイミングを慎重に決めていきます。
気管切開をしても、声を出すことや食事をとることはできますか?
カニューレ(切開部分がふさがらないようにするチューブ)からの呼気漏れを利用したり、スピーチカニューレ(切開をした状態で声を出すことができるチューブ)を使用したりすることで、発声が可能な場合があります。いずれもバイタルサイン(体温、脈拍数、呼吸数、血圧など、からだの状態を把握するための測定値)に注意が必要で、息を吐くタイミングと声を出すタイミングを合わせる練習をします。人工呼吸器を付けている方は、特殊なカニューレを使用することで発声が可能となる場合もありますが、難しいことが多いです。
気管切開をしても、嚥下(えんげ、口の中の食べ物を飲み込むこと)機能によっては食べることが可能な場合があります。しかし、のどのチューブによって飲み込みにくくなるなど嚥下機能が低下することがあり、また、誤嚥してもせきが起こりにくくなるために誤嚥性肺炎につながることがありますので、注意が必要です。必ず主治医や言語聴覚士などに評価してもらいながら食事をとる練習をしましょう。

療養生活のこと

自宅でリハビリテーションを行う際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
まずはリハビリテーションができる環境を整えましょう。機器類のほかに、サイドテーブルのような台を用意しておくとさまざまな場面で使用できて便利です。
ストレッチは関節の変形の予防や、疲労した筋肉のリラクセーションとして効果的です。毎日歯を磨いて顔を洗うように、ストレッチも日課にしていきましょう。
手や腕は生活の中で使用することで、自然と筋力の維持やストレッチができていることが多いです。一方、足は一日車いすに座っていると使用することが少なくなり、拘縮(こうしゅく、関節を曲げ伸ばしできなくなること)が進みやすくなります。日常生活で足を動かす機会が少ないと感じる方は、動かす機会を日課に取り入れてください。入浴中は浮力があるのでからだを動かしやすいです。足の筋力だけでは動かしにくい場合は、手で助けながら動かすことで、手の筋力強化にもつながります。
自宅でのリハビリテーションを継続するために留意する点はありますか?
楽しんでできることや、手軽にできることが、リハビリテーションを続けていくために大切です。がんばりすぎると負担になってしまうこともあり、特に言葉の練習は患者さんにとってつらいものになりやすいです。リハビリテーションは、疲れないよう・楽しく・無理せず行うようにしましょう。
リハビリテーションにもつながるような遊びや、日常の動作はありますか?
SMA患者さんはからだの動きに制限があるので、遊びや動作を通じてからだを動かすこと自体がリハビリテーションになります。集団生活や仕事ではスピードが要求されることもあり、ご自身の力で行う機会が減ってしまう場合があります。ご自身のペースでからだを動かす時間をつくり、無理をせず、楽しみながらからだを動かすことを意識しましょう。
同じ遊びや動作であっても、症状や運動能力によってリハビリテーションにつながるかどうかは異なります。少しがんばることが必要な動作をご自身の力で行うことが、リハビリテーションにもつながる遊びや動作となります。ご自身で動くためには、特にお子さんの場合、興味や楽しさが重要です。お子さんが興味を持つもので一緒に楽しく遊びながら、普段一人ではあまり行わない動作や運動を引き出してあげてください。
たとえば、おままごとキッチンで立って遊ぶ、ボールを投げ・追いかける、ミニカーを走らせる、大きな画用紙に思い切りお絵描きをする、いっしょに本を読む、折り紙などで手指を動かす、歌をうたう・聴かせる、散歩するなど、リハビリテーションにつながる遊びや動作にはさまざまなものがあります。最近では、タブレットやパソコン、ゲーム機などを操作することも、手や指のリハビリテーションになります。
ハロウィーンやクリスマスといった季節ごとのイベントを、写真・動画・歌などを使って説明しながら体験させることで、言葉の練習にもつながります。
人工呼吸器を付けた場合、自宅で生活できますか?
病院と地域支援者との相談・調整により、自宅での生活が可能になることがあります。主治医の判断によりますが、自宅で療養されている患者さんも多くいらっしゃいます。医療や介護をサポートする制度がありますので、詳しくはソーシャルワーカーにご相談ください。在宅医療として医師や看護師などの往診、訪問看護、訪問リハビリテーションをお受けになる手続きをすることが必要です。
治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
胃ろうを使用する場合の、日々のケアや注意点を教えてください。
容器やチューブなどの器具は、使用後に必ず洗浄・乾燥して、清潔に保ちましょう。カテーテルが抜けていないか、カテーテル挿入部に異常がないかを定期的に確認し、皮膚トラブルやカテーテルが抜けてしまうのを防止することも大切です。
経管栄養を使用する場合の、日々のケアや注意点を教えてください。
容器やチューブなどの器具は、使用後に必ず洗浄・乾燥して、清潔に保ちましょう。また、からだを動かすことでチューブを固定するテープが剥がれることがあるので、固定されているかを確認しましょう。鼻の中も清潔にして、炎症や乾燥がみられるときは粘膜を保護するためにお薬を塗ることも大切です。
声を出しづらいのですが、コミュニケーションをとる方法はありますか?
手指や目、口などの顔の動きを使ったコミュニケーション方法があります。患者さんの症状に合わせてスイッチや視線入力装置、パソコンやタブレットなどの機器が使用されています。特に気管切開を行うなど、幼少期から発声が難しい患者さんは、これらのコミュニケーション機器を使用するためにも、コミュニケーション経験、絵本や会話、音楽を通じての発声や言葉の練習・学習を継続することがとても大切です。人工呼吸器のサポートを利用して声を出すという方法は、小さいお子さんでも習得できることが多く、その発声を通して、はい/いいえといった意思を伝えられる場合も多いです。詳しくは言語聴覚士にご相談ください。
文字入力や発話のサポートなどでおすすめのウェブサイト、アプリはありますか?
話し言葉でのコミュニケーションを苦手とする方のために、行動や気持ちなどを表したイラストを選ぶと、そのイラストが持つ意味を音声で読み上げるソフトウェアがあり、発話のサポートとして便利です。ほかにも、視線による文字入力のアプリや、用意された言葉を選択し、組み合わせることで文章を読み上げるアプリなどがあります。
文字と絵文字を使った文書作成、音声出力、メール送受信などができるアプリがあり、スイッチでの操作も可能です。また、会話やメールだけでなく、スマートスピーカーやさまざまな機器の操作ができるアプリもあり、「日常生活用具給付等事業」の給付対象となっています。
文字入力は、小型キーボードやスクリーンキーボードを使うことで入力しやすくなることがあります。手や腕の機能が大きく制限されている方は、スクリーンキーボードと小型マウスやトラックボールマウス、トラックパッドなどを使うとよいでしょう。また、スマートフォンに対応したスイッチがあれば、マウスやスイッチで操作が可能になります。
リンク集」では、アプリを紹介しているウェブサイトを掲載しています。
日常生活に介助を必要としているのですが、一人暮らしは可能でしょうか?
難病患者さんや身体に障がいのある方へのサポートには自立を支援する制度もあります。まずはソーシャルワーカーに相談してみましょう。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
車いすやバギーを作る際のポイントはありますか?
車いすやバギーを使用する場面を考えると、適したタイプを選びやすくなります。車いすは大きく、ご自身でこぐ自走用車いす、コントローラーを操作して移動する電動車いす、人に押してもらい移動する介助用車いすに分類されます。また、自走と電動を切り替えることができる軽量型電動車いすや、自走する力を電動でアシストできる電動アシスト車いすなどもあります。屋内や平地、狭い空間では自走用車いすを、外出時は電動車いすや介助用車いすを使うなど、ご自身の症状と環境に合わせて選択されるとよいでしょう。ご自身で車いすを動かすことは、筋力や体力の維持・向上に役立ちます。
また、車いすの各パーツは、細かく選択できます。たとえば肘置きは、腕を乗せやすい大きなタイプや机やテーブルに入りやすいように短くカットされているタイプ、跳ね上げられるタイプなどがあります。折りたたんで車のトランクに積み込むことが多い場合は、背もたれが折れたり、足台やタイヤを外せたりするタイプもあります。足台や肘置き、横のガードの取り外しや跳ね上げは、いすやトイレへの移動や介助をスムーズにする上でも役立つことがあります。使用する環境の距離や高さを考慮して、ご自身の身体能力を最大限に発揮するための工夫をしましょう。
乗り心地や操作性については、実際に試乗して確認しましょう。福祉機器展のような展示会は複数のメーカーのものを乗り比べすることが可能です。
作製費の負担を軽減する制度がありますので、ソーシャルワーカーに相談してみましょう。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
装具を作る際のポイントはありますか?
装具は、作製する目的をご自身で把握することが大切です。この装具はどのような目的で装着しているのかということを理解していると、装具が合わなくなったときにご自身で気付きやすく、作り変えなどのタイミングを見逃しにくくなります。SMA患者さんはオーダーで装具を作製される方が多く、症状や成長に合わせることが重要です。痛みや違和感が生じたときや、装具の痕が強くつく場合などは、遠慮なく作製した医療関係者へ相談してください。特に成長期の患者さんの場合、からだの成長に合わせて修理や作り直しが必要になり、運動機能の変化にも合わせた適切な装具を使用することが望ましいです。また、さまざまなカラーやデザインがありますので、患者さんの好みに合ったものを選びましょう。
作製費の負担を軽減する制度がありますので、ソーシャルワーカーに相談してみましょう。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
地震や災害などが起こったときのために準備しておくべきことはありますか?
緊急連絡先や救急受け入れ先の確認、医療機器を使用している場合は予備の電源の確保をしておきましょう。そのほか、電源を使わずに呼吸を補助できる携帯酸素やバッグバルブマスク、経管栄養剤のストックを準備しておくとよいでしょう。
在宅療養中に介助者が病気になってしまったときはどうしたらいいでしょうか?
介助者の療養のため、各自治体の難病事業では一時的に患者さんが入院できる制度があります。また、地域によっては介助者の休息を目的とした一時入院(レスパイト入院)を受け入れている病院もありますので、ソーシャルワーカーにご相談ください。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
ワクチン接種に際して留意すべきことはありますか?
治療内容にかかわる可能性がありますので、接種前に主治医にご相談ください。

日常生活のこと

食事の際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
SMAでは、咀嚼(そしゃく、口の中でよくかむこと)が難しい、口から胃への送り込みが難しい、のどに食べ物が残りやすい、誤嚥しやすい、胃や食道から逆流するなどの嚥下(えんげ、口の中の食べ物を飲み込むこと)機能の障害がみられることがあります。
食べるときは首が後ろに倒れるとむせやすくなるため、少しあごを引いて食べるようにしましょう。食べ物を口に入れるときは一口の量を調整し、しっかりとかむようにしてください。飲み込むときはこまめに水分をとって、食べ物がのどを通りやすくすることも大切です。むせていなくても、飲み込んだあとには、口の中に食べ物が残っていないか、声がガラついたり、たんが増えたりしていないかをご確認ください。
嚥下機能の低下がみられる場合には、水分にとろみをつけたり、固形物は舌で押しつぶしやすいよう柔らかい形状にしたりといった工夫をするとよいです。
食事を作る際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
食べ物をかみにくい場合は、食材をなるべく小さく切る、十分に火を通して柔らかくするなどの工夫をしましょう。また、食事や飲み物にとろみをつけたり、あんをかけてまとまりをよくしたりすると、飲み込みやすくなることがあります。のどに食べ物が残りやすい方は、はり付かないように流れやすい形に調整するようにしましょう。また、気管切開をすることで匂いを感じなくなることがあります。そのような患者さんは、味が濃く冷温がしっかりわかるものの方が飲み込みやすくなることがあります。
離乳食を作る際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
消化しにくいものは避けましょう。健康に良いといわれるものでも、内臓機能が整っていないとからだへの負担になる可能性があります。また、塩分が高いものやアレルギー、栄養のバランス、摂取エネルギー量にご注意ください。電子レンジやフードプロセッサーをうまく使うと、多くの食材を使った離乳食を準備できます。冷凍保存やベビーフードなども利用して、サポートされる方の負担がないようにしてください。
胃ろうのための食事を作る際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
食材や料理に水分を加えて攪拌(かくはん)することで、ミキサー食を作ることができます。カテーテルの詰まりや下痢症状に注意して、カテーテルの太さの調整やとろみ剤の利用なども検討しましょう。温度は、常温~人肌程度が目安です。1歳程度からミキサー食の注入が可能という報告もありますが、開始時期は主治医や医療スタッフにご相談ください。一番の目的は食事という楽しい時間を共有することですので、ご家族の方が食べるものをうまく調整し、無理のない程度にご準備ください。また、ミキサー食は市販もされていますので、外出時や介助者の体調不良時、非常事態時に備えておくとよいでしょう。
哺乳瓶でミルクを飲ませる際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
誤嚥を防ぐために、飲ませている間は首が後ろに倒れないようにするなど、姿勢に注意しましょう。吸う力が弱い場合には弱吸啜(じゃくきゅうてつ)用乳首などをお試しください。ミルクをたくさん飲めない場合は、体重変化を考慮しつつ、主治医や医療スタッフと相談しましょう。
食事をする際に便利なカトラリーや食器などはありますか?
スプーンやフォークの先端や持ち手部分が、口に運びやすく、持ちやすいように工夫されているものや、変形できる素材を使用しているものがあります。ピンセットのように使えるお箸もあります。スプーンやフォークはなるべく軽いものを使用し、握る力が弱い場合はグリップを巻くと握りやすくなります。食器類では、取っ手の付いたものや、スプーンですくう際に引っかかってすくいやすい形状のお皿もあります。また、滑り止めシートを利用することもよいでしょう。腕の筋力が低下して動かしにくい場合は、アームサポートなどの補装具を使うとお箸やスプーンが使いやすくなります。
着替えの際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
筋力が低下している、または関節の動きが硬くなっている場合には、無理に動かすと筋肉や関節を痛める可能性があります。着替える前に関節の状態を確認して、動かしにくい方から手や足を通して、動かしやすい方から脱ぐようにしましょう。一人ですべて着替えができない場合でも、できないところを手伝ってもらい、できるところはご自身でやってみるなど、着替えの中でできるリハビリテーションを毎日継続することが大切です。パジャマのボタンの付け外しから練習を始めるなど、できることを見つけていきましょう。
お子さんの場合は、サポートされる方が励ましながら、ご自身でできる範囲まで着替えるのを待ってあげましょう。幼児期は通常であっても少しずつできることが増える時期です。少しずつできる自信を積み重ねながら練習をすることで、座位(座った姿勢)バランスや手や腕の筋力強化も期待できます。
衣類の選び方でアドバイスはありますか?
前開きの服や伸縮性のある生地の洋服を選ぶと、着替えがしやすくなります。ボタンをマジックテープにしたり、ファスナーにフックを付けたりといった工夫をすると、ご自身で着替えられることもあります。また、5本指の靴下は、指を動かしながら履くので、足の変形の予防にもなります。四つ這いや膝歩きが多い方や練習をするときは、膝が隠れ、伸縮性のあるズボンが望ましいです。
排せつの際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
トイレは、ゆっくりとご自身で済ませることが望ましいです。トイレでの立ち座りの補助には、便座を高くする、手すりを使用する、または立ち座りを電動でリフトするなどの方法があります。
座位(座った姿勢)の保持が不安定、または座位は疲労しやすい、お尻が痛くなるなど、トイレでの座位に不安がある場合は、座りやすいように、背もたれや肘掛け、前方に寄りかかれる小さなテーブルを用意する、便座を柔らかい素材にする、背もたれとシートベルトで座位を保持するなどの工夫をするとよいでしょう。座位保持が一人では難しい場合は、トイレ用(入浴と兼用)の座位保持いすもあります。筋力が弱く、排便が困難な場合もありますが、トイレで安心して座位を保持することで腹圧をかけやすくなるように工夫しましょう。
手すりの取り付けや用具の費用の負担を軽減する制度がありますので、ソーシャルワーカーにご相談ください。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
おむつはどのように選べばいいでしょうか? また、おむつ替えの際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
患者さんの肌に合った素材のものを選びましょう。ちょうどいいサイズがない場合は、テープ式のものを使うと調節しやすくなります。大人用の小さいサイズなど、取り扱っているお店が少ない場合は通信販売も利用してみましょう。からだが大きくなってくると、おむつとパッドを併用される方もいらっしゃいます。
紙おむつの購入費の負担を軽減する制度がありますので、ソーシャルワーカーにご相談ください。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
おむつを替える際は、両足をしっかり曲げ膝をおなかにつける姿勢をとると、お尻を拭きやすくなります。同時に腹圧をかけることもできるので排せつのサポートになることもあります。日々行うことで足腰の関節の動かせる範囲の維持にもつながり、からだが大きくなっても足を上げる必要がないので、介助も楽にできます。関節を動かしにくくなっている場合は、十分に曲げる動作が難しいことがありますので、動かせる範囲を確認しながら注意して行うようにしましょう。
入浴の際に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
一人で入浴できる方は、浴室に手すりを付ける、いすを置く、浴槽を浅くするなどの工夫をしましょう。
入浴に介助が必要な方は、家族だけでなく、訪問看護師やヘルパーのサポートを受けられる自治体もありますので、ソーシャルワーカーにご相談ください。
人工呼吸器を使用している方は、人工呼吸器や気管切開部に水がかからないように注意が必要です。また、人工呼吸器の回路の確保も大切です。胃ろうを造設している方は、入浴時に胃ろうの周りをきれいに洗い、入浴後はしっかり乾燥させて、清潔に保つようにしましょう。
手すりの取り付けや浴槽を浅くするなどの自宅の改修費の負担を軽減する制度や訪問入浴などの各種サービスについては、「治療と生活のサポート」でもご紹介しています。
入浴に全介助が必要です。どのような設備を使って入浴させればいいでしょうか?
介助者が抱きかかえて浴槽で入浴される方やビニールボートやプラスチック製の浅い箱で入浴される方などがいらっしゃいます。専用の浴槽やシートなどを用意し、リビングなどでも入浴できる訪問入浴サービスを行う自治体もあります。訪問入浴サービスについては、「治療と生活のサポート」でもご紹介しています。
睡眠時に留意する点や工夫するとよい点はありますか?
快適に眠ることはとても大切です。SMAの方はからだが動かしにくく寝返りが自由にできないために、からだが圧迫され、痛みや血行不良がみられることが多いです。そのような理由でゆっくり休息できない場合、掛け布団の重さの調節やエアーマットレス・自動で姿勢を変えることができるベッドなどの導入を検討されるとよいでしょう。
呼吸に異常がある方は、SpO₂(血中酸素飽和度)をモニタリングするようにしましょう。
抱き上げる際に介助者が留意する点はありますか?
抱き上げて介助をするときには、からだをしっかり密着させることが大切です。密着させることで介助者への負担が減少し、介助される側も安心します。手が長くなると、腕が落ちやすくなるため、抱き上げる前に両手をからだの前でベルトで留めるなどの工夫をするとよいでしょう。からだが大きくなり、抱えることが難しくなってきた場合や、抱き上げることに不安がある場合は、2人で介助する、またはリフトを使うとよいでしょう。関節を動かしにくくなっている方は、動かせる範囲をご確認ください。
嚥下(えんげ、口の中の食べ物を飲み込むこと)が難しく唾液がたまりやすい場合は、抱き上げる前に吸引をして誤嚥を防ぐことも必要です。
気管切開をしている場合は、首が大きく曲がったり反り返ったりしないように、頭部と体幹を安定させてください。
屋内で転倒を予防するために工夫できることはありますか?
足が引っかからないように、歩行の障害になる物を床に置かないようにし、靴下やスリッパは滑りにくいものを選びましょう。手すりを付ける、段差をなくすといった自宅の改修をされる方もいらっしゃいます。特別な道具でなくても、家具や壁を利用して伝い歩きができるように工夫することも可能です。
自宅の改修費の負担を軽減する制度がありますので、ソーシャルワーカーにご相談ください。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
側弯(そくわん)を進めないための座り方やバランスがとりやすい座り方はありますか?
同じ体勢を長時間続けないように注意して、なるべく体勢を変えるようにしましょう。長時間の座位(座った姿勢)は脊柱の側弯や後弯(こうわん)の進行につながることがあります。歩行が困難で日中は座位でいる方は、車いすの背もたれに寄りかかり、ばんざいをして背筋をしっかり伸ばす動作を適度に行ってください。ご自身で背筋を伸ばせない方は、車いすのティルトまたはリクライニング機能を用いて伸ばすようにしましょう。介助者の方に背筋を伸ばす運動をしていただくのも気持ちが良いこともあります。座位に疲れたときは、後方に倒れた姿勢で休息をとりましょう。座位保持いすやコルセットを使うこともありますが、適度に頭の重さや重力で背中を伸ばす機会を持つことは必要です。
生活を便利にするおすすめのグッズはありますか?
ドアノブや水道の蛇口を開けやすくするグッズがあります。また、家中の家電を操作できるスマートフォンやスマートスピーカーも便利です。スマートスピーカーは、人工呼吸器を付けていても、声を正しく聞き取れるまで精度が上がってきています。クッションは食事姿勢の調整やリハビリテーションだけでなく、遊ぶときの姿勢調整にも使うことができるので、さまざまな形・種類を用意しておくとよいでしょう。自宅では、キャスター付きの台車や乗用カートなどを用いることでスムーズに移動できることもあります。
日常生活を便利にするグッズは、各グッズを取り扱うお店のショールームやインターネットで紹介されていますし、当事者の方がSNSを通じ発信もしています。たくさんの情報からご自身に合った情報をうまく取り入れていきましょう。
SMAの子どもが楽しめるウェブサイト、アプリはありますか?
スマートフォンやタブレットでできるゲームアプリは、画面を触るだけの単純なものもあり、お子さんでも楽しみやすいです。キャラクターの動きに合わせてからだを動かすことも楽しみながらでき、リハビリテーションにつながります。遊びやゲームを選ぶ際は、パズルなどの変化がわかりづらいものよりも、ボタンを押すと色が変わるといった変化がわかりやすいものを選ぶとよいでしょう。
スマートフォンやタブレットはSMAのお子さんの弱い力でも操作がしやすいので、固定するアームで操作しやすい場所に設置すると、自分で操作して楽しめます。手や腕の筋力が低下して画面タッチが難しくても、スイッチ環境を整えれば、遊ぶことができる場合もあります。
電車やバス、タクシーを利用して移動する際に留意する点はありますか?
スタッフにお手伝いをお願いする必要がある場合は、駅や運営会社などに事前に相談しておきましょう。エレベーターの有無や位置を事前に確認しておくことも大切です。主要な駅の移動についてはSNSを通じて紹介されている場合もあります。身体障害者手帳をお持ちであれば、携帯しましょう。また、福祉タクシーや介護タクシーと呼ばれる、車いすのまま乗り降りできるタクシーもあります。予約制で福祉車両を貸し出している自治体もあります。
飛行機を利用して移動する際に留意する点はありますか?
飛行機への搭乗はからだに負担がかかることがありますので、事前に主治医にご相談ください。海外に行く予定の方は、現地で体調が悪くなったときの対応も相談しておきましょう。
人工呼吸器を付けている場合やストレッチャーを使用する場合はサポートが必要となりますので、あらかじめ航空会社へご連絡ください。
お薬を飛行機に持ち込む際は、薬剤携行証明書を準備しておきましょう。海外ではお薬の持ち込みが制限されている場合もあります。証明書や持ち運びの注意点は、「弊社製品をお使いの方・ご家族の皆さまへでご紹介しています。

※:弊社製品による治療を現在受けている、または受ける予定がある方ならびに治療をサポートされる方を対象としており、閲覧には注意事項へのご了承が必要です。

車で移動する際に留意する点はありますか?
ヘッドレストを装着していても、急ブレーキなど頭部を固定することが難しい場合があります。ヘッドレストにバンドで頭部を固定するなど工夫をすることもできます。座位(座った姿勢)の保持が難しい場合、座位保持いすをシートに取り付ける方法もあります。長時間の座位は疲れやすいですので、シートを倒すなど、休息をとりながら移動するようにしましょう。
外出の際の持ち物で注意することはありますか?
長距離を歩く場合、疲れやすい方は車いすやつえの用意をしておくとよいでしょう。車いす用簡易電動ユニットでの長時間の外出はバッテリーが切れるおそれもありますので、走行距離によっては予備のバッテリーの用意も必要です。外出先で排痰(はいたん)が必要な方は、吸引器を忘れないようにしましょう。
また、患者さんの状態の変化や医療機器の故障などへも対応できるように、必要な医療物品は常に携帯しておきましょう。
旅行はできるのでしょうか?
患者さんの状態が安定していれば、旅行も可能です。バリアフリーに対応したホテルや旅館もあります。医療機器(人工呼吸器や吸引器など)のバッテリーなどが必要な方は、電源の確保などを事前に宿泊先へ相談しておきましょう。バッテリーなどが必要な際には忘れず持参しましょう。
患者、患者の家族同士で情報交換をできる場はありますか?
患者さんやご家族の方などで構成されている「SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会」があります。会員同士で交流できるイベントなども行われています。詳しくは「リンク集」よりウェブサイトをご参照ください。
そのほかにも、病院やリハビリテーション施設で出会った人と交流を持つ方や、最近ではSNSを使って交流の輪を広げている方もいらっしゃいます。
働くことについて何かサポートを受けられますか?
難病患者さんや身体に障がいのある方へのサポートには就労を支援する制度もあります。各自治体の難病相談支援センターやハローワークに配置された難病患者就職サポーターによる支援を受けることができます。まずはソーシャルワーカーにご相談ください。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
できるだけ出費を抑えたいです。利用できる支援制度などはありますか?
医療費の助成から生活費のサポートまで、さまざまな支援制度があります。患者さんの症状や、お住まいの自治体によって利用できる制度は異なります。ご自身が利用できる制度については、ソーシャルワーカーにご相談ください。SMA患者さんが利用できる代表的な制度をご紹介していますので、「治療と生活のサポート」をご覧ください。

学校のこと

学校生活についてサポートを受けられますか?
難病患者さんや身体に障がいのある方へのサポートには学校生活を支援する制度もあります。まずはソーシャルワーカーにご相談ください。「治療と生活のサポート」でも制度をご紹介しています。
通う学校はどのように決めたらいいでしょうか?
患者さんとご家族のご意向を踏まえて、患者さんの症状やサポートされる方の有無、学校側の設備や体制などを調整しながら決めていきます。普通学級に通う方や特別支援学校に通う方などさまざまです。学校との話し合いが必要ですので、できるだけ早いタイミングでソーシャルワーカーにご相談ください。
学校生活を送る上で、学校には病気のことをどのように説明すればいいでしょうか?
学校生活で必要な介助や、使用している医療機器、車いすなどご注意いただきたいことを伝えておくとよいでしょう。患者さんの症状に合わせてお伝えすべきことを一緒に考えますので、医師や公認心理師(臨床心理士)、ソーシャルワーカーへご相談ください。
学校生活の中で留意する点や工夫するとよい点はありますか?
SMAの方は学習意欲もあり、学校生活へ積極的に参加を希望される方が多いです。しかし、身体的な障がいにより、移動、書字、食事、トイレなど多くの場面でさまざまな工夫や注意が必要です。一日中車いすに座ったままでいると、背中や足の動かしづらさにつながる可能性もあります。バリアフリーや休息場所などの環境、移動やトイレなどの介助者の必要性、長時間の座位(座った姿勢)の保持が難しい場合の授業中の姿勢、書字や食事にかかる時間、体育の参加方法など、学校への相談が必要なこともあります。どのような場面に工夫や注意が必要かは患者さんごとに異なりますので、主治医や担当のリハビリテーションスタッフへご相談ください。そして、注意や配慮してほしいことを学校側へ伝え、どのような工夫ができるかを一緒に検討することが大切です。
また、外部からの刺激が少なくなると、言語機能の発達に影響することがあります。そのため学校ではいろいろな人に声をかけてもらい、かつ、反応を待ってもらえるようお願いしましょう。物や絵、写真などを用いて会話のキャッチボールを行うことが言葉の練習になります。
遊びや勉強をがんばりすぎて無理をしないように注意することも必要です。
学校生活で使う道具について、留意する点や工夫するとよい点はありますか?
学校でよく使う道具は、患者さん自身が使いやすいものを選びましょう。手や腕の筋力が弱い場合には、鉛筆にグリップを付ける、芯が柔らかいデッサン用鉛筆を使うといった工夫があります。

|監修|

・国立精神・神経医療研究センター
中山 慧悟 先生(言語聴覚士)/花井 亜紀子 先生(看護師)/原 静和 先生(ソーシャルワーカー)

・国立病院機構 東京医療センター・元 国立精神・神経医療研究センター
三橋 里子 先生(作業療法士)

・東京女子医科大学
齋藤 加代子 先生(医師)/浦野 真理 先生(公認心理師、臨床心理士、認定遺伝カウンセラー®)/佐藤 裕子 先生(看護師、認定遺伝カウンセラー®

・獨協医科大学埼玉医療センター
長谷川 三希子 先生(理学療法士)

2021年8月作成