用語集

脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう、SMA)にかかわる用語について解説します。

  • 胃食道逆流症
    主に胃の中の酸が逆流する病気で、食後の吐き気、嘔吐(おうと)、胸やおなかの不快感などがあらわれます。
  • 遺伝
    外見や性質の特徴など遺伝子の持つ情報が、親から子どもへ伝わることです。SMAに関する遺伝については「SMAの遺伝」のページをご覧ください。
  • 遺伝カウンセリング
    遺伝にまつわる疑問や悩み、不安を解消するために、医療機関に相談し、さまざまな専門家から情報を得たり、理解を深めたりすることです。遺伝学的検査を実施する場合には、検査前から診断後まで、心理面や社会面も含めたサポートも受けることができます。詳しくは「遺伝カウンセリング」のページをご覧ください。
  • 遺伝学的検査
    確定診断や発症前診断などを目的に、生まれ持つ遺伝子を調べる検査です。SMAの診断においては、血液からSMN1遺伝子の数(コピー数)や変化などを調べます。詳しくは「遺伝学的検査」のページをご覧ください。
  • 遺伝子
    親から子どもへ伝わる外見や性質の特徴などの詳しい情報を持つ、体をつくるための設計図のようなものです。体はさまざまな細胞からできていますが、この細胞をつくるために、体のどこの、どのような細胞をつくるのかという詳しい情報を遺伝子が持っています。詳しくは「遺伝子の役割と遺伝」のページをご覧ください。
  • 胃ろう
    口から飲んだり食べたりすることが難しい場合に、栄養状態の悪化を防ぐため、おなかの外から胃に直接栄養を送る入り口のことです。経管栄養の方法のひとつです。
  • 運動神経細胞
    筋肉を動かすためにはたらく細胞です。運動神経細胞が機能することで、脳からの指示が筋肉へと伝わり、手や足などが動かせます。
  • 嚥下(えんげ)
    飲み物や食べ物を飲み込んで口から胃へ送ることです。
  • 嘔吐(おうと)
    胃の中のものを吐くことです。

  • 下位運動ニューロン
    脊髄前角細胞(せきずいぜんかくさいぼう)から手足などの筋肉へ指示を伝える運動神経です。SMAでは下位運動ニューロンが障害されます。
  • 合併症
    ある病気がもとになって、別の病気や症状が引き起こされることです。SMAでは、SMAそのものの症状だけでなく、合併症のさまざまな症状があらわれるため、SMAの原因への治療とあわせて、合併症へのケアも必要です。詳しくは「SMAの症状」「SMAの合併症に対するケア」のページをご覧ください。
  • 関節拘縮(かんせつこうしゅく)
    関節を伸ばしたり、曲げたりできなくなることです。SMAでは、Ⅱ型の方や、歩行ができなくなったⅢ型の方では、進行すると、膝、足首、肘などの関節拘縮がみられるようになります。
  • 筋萎縮(きんいしゅく)
    筋肉がやせることです。多くの場合、筋力低下を伴います。
  • 筋緊張低下(低緊張)
    筋肉の緊張状態(触れたときの硬さや張り)が低下することです。筋肉が柔らかくなり、マシュマロのような柔らかさと表現されることもあります。そのほか、手や足を振ったときに、力が入らず大きく動くようになります。新生児期・乳児期にみられる場合はフロッピーインファントと呼ばれます。Ⅰ型の方でみられる症状のひとつです。
  • 経管栄養
    口から飲んだり食べたりすることが難しい場合に、栄養状態の悪化を防ぐため、胃や腸などの消化管から直接チューブなどで栄養をとることです。この一例として、経鼻胃管(けいびいかん)や胃ろうなどがあります。
  • 経鼻胃管(けいびいかん)
    口から飲んだり食べたりすることが難しい場合に、栄養状態の悪化を防ぐため、鼻からチューブなどで栄養をとることです。経管栄養の方法のひとつで、経鼻栄養(けいびえいよう)と呼ばれることもあります。
  • 欠失
    一般的に遺伝子の説明の際に使用され、遺伝子の一部を持っていないことを指します。
  • 誤嚥(ごえん)
    口から食道へ入るべきものが、誤って空気の通り道である気道に入ってしまうことです。Ⅰ型の方では筋力低下によって飲み込みづらくなり、誤嚥が起こることがあります。
  • コピー数
    遺伝子の数のことです。SMAでは、確定診断や重症度の予測のために、遺伝学的検査でSMN1遺伝子やSMN2遺伝子のコピー数を調べます。たとえば「0コピー」「1コピー」のように数で示されます。

  • シーソー呼吸
    息を吸うときに胸がへこんでおなかがふくらみ、息を吐くときはその逆で胸がふくらんでおなかがへこむ状態を指します。Ⅰ型の方でみられることがあります。
  • 上位運動ニューロン
    脳(大脳皮質)から脊髄前角細胞(せきずいぜんかくさいぼう)に指示を伝える運動神経です。
  • 小児
    7歳以上、15歳未満の児を指します。
  • 小児慢性特定疾病(小慢)
    18歳未満の病気(疾病)のうち、(1)慢性に経過する、(2)生命を長期に脅かす、(3)症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる、(4)長期にわたって高額な医療費の負担が続く、の4つの条件を満たし、厚生労働大臣が定める特定の疾病です。SMAも対象疾病に指定されています。
    小児慢性特定疾病の患者さんは、医療費助成や日常生活用具の給付、自立支援などさまざまなサポートを受けることができます。サポートの詳細は「小児慢性特定疾病の患者さんへのサポート」のページをご覧ください。
  • 神経内科
    脳や脊髄(せきずい)、神経、筋肉の病気をみる内科で、「脳神経内科」とも呼ばれています。体を動かしたり、感じたりすることや、考えたり覚えたりすることが上手にできなくなるといった症状の病気を扱います。SMAが疑われる症状がある成人の方は、神経内科やかかりつけ医を受診してください。SMAが疑われる症状の詳細は「SMAの症状」のページをご覧ください。
  • 人工呼吸器
    呼吸をサポートする医療機器です。自分自身で呼吸がしづらい場合に、人工呼吸器を使用してうまく呼吸ができるようにサポートします。人工呼吸器は、鼻などにマスクをつけるタイプと、手術で気管に穴をあけ(気管切開)、のどの付近にチューブを装着するタイプがあります。
  • 新生児
    生後28日未満の児を指します。
  • 新生児スクリーニング
    新生児に、生まれつきの病気がないか検査して早期に発見し、発病前から治療を始められるようにするための事業です。詳しくは「新生児スクリーニング」のページをご覧ください。
  • 脊髄(せきずい)
    背骨の中にある神経の束のことです。
  • 脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)
    脊髄(せきずい)の中にある、筋肉を動かすためにはたらく細胞(運動神経細胞)が変化して、手や足などの筋肉が弱くなっていく病気です。赤ちゃんから大人まで幅広い年齢層で発症します。筋力低下を中心としたさまざまな症状があらわれることがある進行性の病気です。SMA(Spinal Muscular Atrophy)ともいいます。詳しくは「SMAのことを知りたい方」のページをご覧ください。
  • 脊髄前角細胞(せきずいぜんかくさいぼう)
    脊髄(せきずい)の中にある、筋肉を動かすためにはたらく細胞(運動神経細胞)を指します。SMAは、脊髄前角細胞の変化によって起こります。
  • 装具(そうぐ)
    病気やケガのため、手足や腰などに障がいが生じたときに、症状の軽減などを目的として装着する器具です。SMAでは、関節拘縮(かんせつこうしゅく)や側弯(そくわん)に対し、症状が進まないようにサポートする目的などで使用され、リハビリテーションとしても用いられます。
  • 早産児
    妊娠37週未満で生まれた児を指します。
  • 側弯(そくわん)
    背骨の周りの筋肉が弱いために背骨がうねるように曲がることです。SMAでは、座る姿勢をとる時間が長いⅡ型の方や、思春期前に歩行ができなくなったⅢ型の方でみられることがあります。

  • 調製粉乳(調合乳)
    主に育児用に、母乳の成分に近づくよう栄養などが調整された粉ミルクのことです。調合乳と呼ばれることもあります。
  • 低緊張(筋緊張低下)
    筋肉の緊張状態(触れたときの硬さや張り)が低下することです。筋肉が柔らかくなり、マシュマロのような柔らかさと表現されることもあります。そのほか、手や足を振ったときに、力が入らず大きく動くようになります。新生児期・乳児期にみられる場合はフロッピーインファントと呼ばれます。Ⅰ型の方でみられる症状のひとつです。

  • 難病
    (1)原因不明で、(2)治療方法が確立しておらず、(3)希少な疾病であり、(4)長期の療養を必要とするものをいいます。がんなどは含まれません。うち、(1)患者数が国内において一定の人数より少なく、(2)診断基準などが確立しているという要件を満たし、厚生労働大臣に指定を受けた難病を「指定難病」といいます。指定難病は医療費の助成を受けることができます。SMAは指定難病にあたります。サポートの詳細は「指定難病の患者さんへの医療費助成」のページをご覧ください。
  • 乳児
    生後28日以上、1歳未満の児を指します。

  • 肺炎
    細菌やウイルスなどの微生物に感染して、肺に炎症を起こす病気です。SMA患者さんでは、誤嚥(ごえん)によって引き起こされる誤嚥性肺炎がみられることがあります。
  • フロッピーインファント
    筋肉の張りが弱くなり(筋緊張低下)、体が柔らかくなった状態です。Ⅰ型の方でみられることがあります。詳しくは「フロッピーインファントとは?」のページをご覧ください。
  • 変異
    遺伝子に変化があることを指します。
  • 保因者
    両親から受け継ぐ遺伝の情報(遺伝子)のうち、何らかの変化(変異)がある遺伝子を持っていても病気や症状を発症していない人のことです。詳しくは「SMAの遺伝」のページをご覧ください。
  • 補装具(ほそうぐ)
    身体の機能を補ったり、日常生活や就学・就労などをサポートしたりするためのもので、装具(そうぐ)に加えて、座位保持いす、車いす、歩行補助つえなどが含まれます。
    身体に障がいのある方や難病患者さんは、補装具の購入費や修理費などの支給を受けることができます。詳しくは「補装具・日常生活用具」のページをご覧ください。
  • 哺乳
    母乳やミルクを飲むことです。Ⅰ型の方では母乳やミルクを吸う力が弱い哺乳障害がみられることがあります。

  • 幼児
    1歳以上、7歳未満の児を指します。

  • リハビリテーション(リハビリ)
    医学の面では、主に理学療法などの機能回復訓練を指す言葉として使われます。SMA患者さんでは、呼吸がうまくできるようにするために、また、関節拘縮(かんせつこうしゅく)や側弯(そくわん)が進まないようにするためなどに、個々の状態に合わせたリハビリテーション(リハビリ)を行います。具体的には、ストレッチや装具(そうぐ)の装着などを行いますが、症状が進まないように、医療機関だけでなく、ご自宅でも無理をしない程度に毎日リハビリを続けることが大切です。

英字

  • BIPAP(バイパップ)
    二相性陽圧呼吸[Biphasic(Bilevel)Positive Airway Pressure]という、NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の人工呼吸器の換気モードのひとつです。NPPVを指す言葉として使われていることがあります。
  • NIPPV
    和訳や略語は統一されておらず、非侵襲的陽圧換気療法(Noninvasive Positive Pressure Ventilation)を指す場合や、非侵襲的間欠的陽圧人工呼吸(Noninvasive Intermittent Positive Pressure Ventilation)を指す場合があります。
  • NPPV
    非侵襲的陽圧換気療法(Noninvasive Positive Pressure Ventilation)を指します。気管切開せずに、鼻などにマスクをつけて行うタイプの人工呼吸です。
  • OT
    作業療法士(Occupational Therapist)を指します。食事、入浴、着替え、文字を書くなどの日常生活に必要な動作や、手・指を使う作業がスムーズに行えるようサポートするリハビリテーションの専門家です。詳しくは「Voice」のページをご覧ください。
  • PT
    理学療法士(Physical Therapist)を指します。立つ、座る、歩く、寝返るなど体の基本的な動作を改善するリハビリテーションの専門家です。詳しくは「Voice」のページをご覧ください。
  • SMA
    脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう、Spinal Muscular Atrophy)を指します。
  • SMNタンパク質
    運動神経細胞生存(Survival Motor Neuron)タンパク質を指します。筋肉を動かすために必要なタンパク質で、SMNタンパク質の量が少ないと、筋肉だけでなく、消化器や骨など、体のさまざまなところで影響がでるとされています。
  • SMN1遺伝子(エスエムエヌワンいでんし)
    筋肉を動かすために必要なSMNタンパク質をつくる遺伝子です。健康な人はSMN1遺伝子を持っているため、十分な量のSMNタンパク質をつくれます。
  • SMN2遺伝子(エスエムエヌツーいでんし)
    SMN1遺伝子と同じく、筋肉を動かすために必要なSMNタンパク質をつくる遺伝子です。ただし、SMN1遺伝子と異なり、SMN2遺伝子からはSMNタンパク質がわずかしかつくれません。
  • ST
    言語聴覚士(Speech Therapist)を指します。言葉を話すことや食べ物などの飲み込みに障がいのある患者さんをサポートするリハビリテーションの専門家です。詳しくは「Voice」のページをご覧ください。
  • TPPV
    気管切開による人工呼吸(Tracheostomy Positive Pressure Ventilation)を指します。長期にわたる人工呼吸が必要で、NPPVの適応とならない場合に、気管に穴をあけ、のどの付近にチューブを装着するタイプの人工呼吸です。

(参考)

・SMA診療マニュアル編集委員会 編.脊髄性筋萎縮症診療マニュアル.第1版.金芳堂; 2012.

・新川詔夫 監,太田亨,他.遺伝医学への招待.改訂第6版.南江堂; 2020.

・日本医学会.医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン.https://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis.pdf,(2021年8月3日参照)

・医療情報科学研究所 編.病気がみえる vol.7 脳・神経.第2版.メディックメディア; 2017.

・日本小児神経学会.小児神経学的検査チャート作成の手引き.https://www.childneuro.jp/modules/about/index.php?content_id=29,(2021年8月3日参照)

・医療情報科学研究所 編.病気がみえる vol.1 消化器.第6版.メディックメディア; 2020.

・日本呼吸器学会.呼吸器の病気 誤嚥性肺炎.https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=11,(2021年8月3日参照)

・厚生労働省.医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項について(平成29年6月8日薬生安発0608第1号,最終改正 令和2年8月31日).https://www.pmda.go.jp/files/000236344.pdf,(2021年8月3日参照)

・小児慢性特定疾病情報センター.医療費助成 概要.https://www.shouman.jp/assist/outline,(2021年8月3日参照)

・日本神経学会.脳神経内科の主な病気 脳神経内科とは? https://www.neurology-jp.org/public/disease/about.html,(2021年8月3日参照)

・内山聖 監.標準小児科学.第8版.医学書院; 2013.

・日本マススクリーニング学会.新生児マススクリーニングの概要.https://www.jsms.gr.jp/download/14_1_20131028.pdf,(2021年8月3日参照)

・藤田恒夫.入門人体解剖学.改訂第5版.南江堂; 2012.

・上田敏 監.標準リハビリテーション医学.第3版.医学書院; 2012.

・厚生労働省.第14回 指定難病検討委員会資料 指定難病の要件について.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000138732.pdf,(2021年8月3日参照)

・難病情報センター.指定難病患者への医療費助成制度のご案内.https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460,(2021年8月3日参照)

・医療情報科学研究所 編.病気がみえる vol.4 呼吸器.第3版.メディックメディア; 2018.

・日本呼吸器学会.呼吸器の病気 市中で起こる肺炎.https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=4, (2021年8月3日参照)

・厚生労働省.補装具費支給制度の概要.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/aiyo.html, (2021年8月3日参照)

・一般社団法人 日本新生児成育医学会 編.新生児学テキスト.メディカ出版; 2018.

・公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 監,公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 診療ガイドライン委員会,他 編.神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドライン.金原出版; 2014.

・Swoboda KJ. J Clin Invest. 2011; 121: 2978-81.

・Yeo CJJ, et al. Pediatr Neurol. 2020; 109: 12-9.

2021年8月作成