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摂食・嚥下機能と栄養のきほん

摂食・嚥下機能と
栄養のきほん

1つでもあてはまる場合は、摂食・嚥下機能が落ちている場合があります

1つでもあてはまる項目があれば、摂食・嚥下機能が低下している場合があり、誤嚥してしまうことで、誤嚥性肺炎の原因になるので注意が必要です。

参考:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 編.嚥下障害診療ガイドライン2018年版.金原出版; 2018.

摂食・嚥下とは

摂食・嚥下とは、食べ物を認識し、食道を通過して胃に送られるまでの一連の流れで、5つの段階に分かれます。食べ物が通る、口腔・上咽頭から食道のどこか1カ所に障がいがあるだけでも、食事がうまく食べられなくなります。

先行期
食べ物を視覚や嗅覚で認知し、口へと運ぶ
嚥下準備期
食べ物を咀しゃく、飲み込むための塊にする
口腔期
舌で食べ物をのどへ送る
咽頭期
食べ物がのどを通って食道へ送られる
食堂期
食道のぜん動によって胃に送られる

参考:脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き編集委員会 編.脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き.メディカルレビュー社; 2022.

「かむ力」や「飲み込む力」に合わせて食形態を調整しましょう

摂食・嚥下機能が低下してくると、徐々に「かむ力」や「飲み込む力」が落ちてきます。それに合わせて、食形態を調整する必要があります。その1つの基準となるのがユニバーサルデザインフードです。かみやすさ(やわらかさ)や飲み込みやすさを判断するのに役立ちます。

ユニバーサルデザインフード®️とは

ユニバーサルデザインフードとは、日常の食事から介護食、嚥下配慮食まで、食べやすさを4段階に分けて表しています。ドラッグストアやスーパーで購入できるレトルトタイプの嚥下配慮食に記載されているので、選ぶ際の参考になります。

ユニバーサルデザインフード

参考:日本介護食品協議会.ユニバーサルデザインフードとは. https://www.udf.jp/outline/udf.html,(2023年3月23日閲覧)

誤嚥を防ぐためのポイント

患者さんが自力で食べられる場合は、正しい姿勢に調節し、補助具の工夫などで誤嚥を防ぎ、安全で効率的に食事することが可能になります。

ユニバーサルデザインフードユニバーサルデザインフード

参考:脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き編集委員会 編.脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き.メディカルレビュー社; 2022.
⼀般社団法⼈ 埼⽟県⻭科医師会.誤嚥性肺炎予防のための⾷事姿勢と⼝腔健康管理.
https://www.saitamada.or.jp/wp-content/themes/saitamada/pdf/go8020/2018goenyobo.pdf,(2023年3⽉23⽇閲覧)

低栄養・過栄養にならないように気をつけましょう

摂食・嚥下機能が落ちてくると、食事量が減ることなどの理由から必要な栄養が確保できなくなり、低栄養が認められます。逆に、歩行が可能な患者さんや座位が保てる患者さんの中で、摂食・嚥下機能に低下が認められない患者さんでは、肥満など過栄養に注意する必要があります。

参考:脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き編集委員会 編.脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き.メディカルレビュー社; 2022.

適正なエネルギー量を確保し、体重を維持することが大切

年齢相当の体重を維持するためには、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスが大事です。
前者が多ければ体重減少に、後者が多ければ体重が増えてしまいます。
体重(kg)は、標準体重[身長(m)×身長(m)×22]が目安になります。

参考:厚生労働省.e-ヘルスネット.肥満と健康. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html,(2023年3月23日閲覧)

低栄養によるリスク

低栄養の状態が続くと、筋力の低下や免疫機能が落ちることで感染症にかかりやすくなったり、全身の状態を悪化させたりします。また、骨粗しょう症、骨折のリスクも高くなります。

咀しゃく筋の筋力低下 摂食嚥下障害 呼吸機能障害>摂取エネルギー量が減少(食事量が減る)>低栄養状態 リスク 筋力低下 感染症にかかりやすい咀しゃく筋の筋力低下 摂食嚥下障害 呼吸機能障害>摂取エネルギー量が減少(食事量が減る)>低栄養状態 リスク 筋力低下 感染症にかかりやすい

過栄養によるリスク

運動機能の低下にともなって活動量が減っても、食事量が変わらなかったり、増えてしまったりすると肥満につながります。肥満の状態が続くと、メタボリックシンドローム、糖尿病や高血圧など生活習慣病のリスクにもなります。

活動量の低下>摂取エネルギー量に比べて消費エネルギーが減少>過栄養状態 リスク 肥満 生活習慣病の合併活動量の低下>摂取エネルギー量に比べて消費エネルギーが減少>過栄養状態 リスク 肥満 生活習慣病の合併

栄養バランスのよい食事がきほん

きほんはたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンやミネラルの必要量が補える、栄養バランスのよい食事です。嚥下食の形態が進むにつれて、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが摂りにくくなるので、摂食・嚥下機能に配慮しながらも、それらを含む食品を取り入れるように意識しましょう。

炭水化物(糖質+食物繊維)

<ごはん・パン・麺・いも類>
糖質はエネルギー源。食物繊維は腸内環境を整えたり、糖質や脂質の吸収を緩やかにしたりする。


脂質

<油・バター>
エネルギー源。栄養素の運搬にかかわる。

たんぱく質

<肉・魚・大豆製品・乳製品・卵>
筋肉、血液など体の構成成分。ホルモン、免疫の材料にもなる。

ビタミン

<野菜・果物・肉・魚>
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがある。体の機能の調整や維持に必要不可欠。糖質や脂質などの代謝にもかかわる。

ミネラル

<海藻・乳製品・大豆製品>
カルシウム、鉄など。体の機能の調整や維持に必要不可欠。体内でつくれない。

参考:脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き編集委員会 編.脊髄性筋萎縮症(SMA)診療の手引き.メディカルレビュー社; 2022.

|監修|株式会社おいしい健康 管理栄養士

2023年4月作成